耳が遠いうちのじぃちゃん 当て逃げ編

私のおじぃちゃん、耳が遠い遠い。

いつもつけてる補聴器のボリュームが最大でピィーピィー音が漏れてくるので、

あっ、じぃちゃんが近くにいるな、と分かります。

 

最近、ご高齢者の運転の事故が頻繁にニュースになっていて、心が痛い。

みんな簡単に『運転するな』『免許を返却しろ』と責めますが、

電車やバスなどの公共の交通手段がある都会なら問題ないかもしれないけれど、

地方都市、つまり田舎だと頼れる公共交通機関は無く、

自家用車がご高齢者のみならず誰もがどうしても足として使います。

だってそれしかないんだもの。

 

じぃちゃんも周りから『車に乗るな』『乗るな』と煩く言われながらも、

『じゃ、お前がワシの足になってくれるんか!?』と逆切れしつつ車の運転をしていました。

 

ある日、じぃちゃんを訪ねてお巡りさんが来ました。

耳が遠いじぃちゃんには通訳(母たち)がつきます。

『今日の午後1時頃、〇〇交差点で赤い車とぶつからなかったですか?』

『おぅおぅ、ぶつかった、ぶつかった』

え”っ?交通事故?

『相手の方を憶えていますか?』

『女が乗っとったわ』

『問題なかったですか?』

『おぅおぅ、ちょっと車の横が擦れたけど、まぁ、向こうもわざとちゃうけんワシは許してやったんじゃ』←なぜか後ろに反り返って自慢げ

『ワシも怪我しとらんしなぁ~』←寛大寛大

『・・・相手の方から被害届が出ています』

・・・シー―――――――――ン!

『なんでじゃ!<(`^´)>』

『ワシの体を心配して来たんとちゃうんかい!<(`^´)>』

『帰れっ!!!<(`^´)>』

 

耳の遠いじぃちゃんは接触事故を起こし、自分の車も相手の車も大した凹みじゃないから問題なしと勝手に判断し(←多分、一方的に喋っていたとは思うけど)、

『あばよ!』と勝手に帰ってきたらしい。

逃げられた!?と思った相手はじぃちゃんの車のナンバーを控え警察に通報。

当て逃げ事件として処理され、お巡りさんがお家にやってきたのでした。

じぃちゃんはその人が自分の体を心配してお巡りさんを寄こしたと思ったんだって(笑)

 

そんなわけあるか!

 

愛しいご高齢者に住みよい町を!